七月を告別し、盛夏の時を告別し、時間はゆっくりと流れ去っていく。まるで青春のように、徐々に流れ去っていく。
ある人を無意識に思い出し始め、親友たちを思い出し、心の中の彼を思い出し、彼が今何をしているのか考えるようになった。もう自分の思いを抑えきれなくなり、何かをしているときに思い浮かぶのはいつも彼だった。
八月、私は自分の旅を始めた。その日、激しい雨が降っていた。私は小さな傘を差し、雨の中を歩いていた。雨が傘を叩く音は、パチパチととても清らかで、まるで心を奪う曲のように聞こえた。私もその中に陶酔し始め、雨水が私のかかとに飛び散り、もう気にせず、雨水の飛び散りをそのままにしていた。
バスを待っていると、雨は止むことなく降り続き、私の服はすっかり濡れてしまった。やっとバスが来て、心を躍らせて乗り込んだ。バスの中は本当に混雑していて、幸運にも空いている席を見つけて座った。窓の外の雨を眺めながら、たくさんのことを考えた。もし隣に座っているのが彼だったら、彼の肩に寄り添って、彼の肩を借りて少し眠ることができたらいいのに、そんなことを本当に思った。
バスが到着し、雨も止んだ。重いバッグを提げて家に帰った。家の感覚は本当に温かく、私を孤独から解放してくれた。重いバッグを持って自分の部屋に入った。部屋の中のものは何も変わっておらず、いつも通りの位置にあり、全体的にとてもきれいだった。おそらく、母が普段も掃除を手伝ってくれているのだろう。疲れていたせいか、私はベッドに横になった途端に眠りに落ちた。
どれくらいの時間眠っていたのか分からないが、目が覚めたとき、友達に電話をかけて、彼らの様子を尋ね、彼らが幸せであることを願った。一人で部屋に座ってしばらく過ごし、午後の陽射しがカーテンに差し込み、暖かかった。私は片手でその暖かい陽射しを掴もうとした。しかし、どうやっても掴むことができず、残るのは手のひらに残った小さな埃だけだった。
裸足で、手に温かいお湯を持ちながら、部屋の中を歩き回った。本当にその瞬間に留まりたかった。自分の記憶が手に持っているこの白湯のように清らかで、空白であればいいのに。そんな感覚が好きで、淡い。
好きな人とプロヴァンスに旅行に行くことを考えたことがあった。ずっとそこに憧れていた。いつか、そこで私たちの結婚式を挙げ、一緒に生活し、一生を過ごすことを考えたことがあった。私が振り返るその瞬間、彼も私の背後に立って、ずっと私を守ってくれることを考えたことがあった。さまざまな考えがその瞬間に押し寄せ、止めることができなかった。
時々考えるのは、どこに行っても、その記憶はずっと私たちに付きまとい、忘れることができないということだ。そして、ある思い出については、私たちにとって、忘れることが覚えていることよりも良い。幸せが、私たちが気づかないときにいつも私たちのそばにやってくるように。
八月の夏、陽射しは依然として明るいが、七月のようにまぶしくはない。時折小雨が降ることもあり、雨が嫌いだった私も、今では雨を恋しく思い、雨がもたらす思いを恋しく思うようになった。窓辺に一人で座り、雨の音を聴きながら、静かに思い出を振り返ると、すぐに静かな状態に入ることができる。おそらく、だからこそ雨が好きなのだろう。